【広告】Amazonにて人気の 日替わり商品毎日お得なタイムセール

ペッコミ ショートストーリー掲示板

何か記念に書いてください!

ホームページへ戻る

Name
e-mail
URL
Title
Icon /IconURL
Color
COOKIE password

こちらの関連記事へ返信する場合は上のフォームに書いてください。

星に願いを〜いつか走った河川敷〜

[135]K'SARS


 1番星に願い事をすると願いが叶うと言われている。
 さて今回は、誰がお願いをするのかな?


「きゃは、くすぐったいってば〜」
 女の子がはしゃいでいた。
 小さな子犬を両手に持って、楽しそうにはしゃいでいた。
 僕は、それを見ながら笑っていた。
 そして思った。
 よかった。
 この子なら、安心してまかせていける。
 ちゃんと、仲良くしてくれるだろうっと。
 勝手だと思うけど、こうするしかこの子が幸せになる方法がなかった。
 今度行く街のアパートでは、ペットは厳禁と、大家さんにきつく言われているから。
 実家の方も忙しいから、面倒は見れない。
 かといって、また野に戻したところでまた帰ってくるのは目に見えているし、僕自身もこの子に愛着を持っているから、捨てる事なんて出来ない。
 だから、里親を探した。
 女の子は、すぐにこの子を気に入ってくれた。
 それから僕は、この子に関してのことを、こと細かく教えた。
 お手とかおすわりとか、そんな基本的なことから、散歩のコースも、こと細かく教えた。
 そして、1番大好きなボール遊びも。
 この子と僕の思い出のほとんどが、このボール遊び。
 僕が投げたら、すばやく取ってきて、
「もっと、もっと、ご主人様〜」
 って言わんがごとく、しっぽを激しく振って催促をする。
 そんなことの繰り返しが、すごく癒された。
 現実に起こった全てのことが、この河川敷で遊んでいるときは忘れる事が出来た。
 だから、最後の一瞬まで、この子といる時間を大切にしようと思った。
 そして、僕が遠くの街へと行く当日。
 女の子は、あの子を連れて見送りに来てくれた。
 元気でねって、女の子は言ってくれたけど、あの子は目をうるうるして僕を見ていた。
 まるで、僕との別れをわかっているみたいに。
 その目を見て、一緒に連れて行きたい衝動にかられた。
 この子といる時間を、また過ごして見たいと思った。
 けど、ぐっと我慢した。
 今ここで感情的になって、この子と女の子を不幸にするわけにはいかなかった。
 だから、見ないようにした。
 どんなに辛い事でも、僕が味わった悲しみを味あわせても、のびのびと暮らして行ける環境で生活をさせてあげるのが、飼い主であった僕にできた、最後の優しさだと思った。
 そして、電車が走り出した。
 これで、あの子は幸せに生きて行けると、胸をなでおろしながら。
 しかし、それが悲劇を起こした。
 1週間後。
 荷物の整理を終えて、必要最低限の生活用品を揃えたところで、電話がかかってきた。
 奇しくも、それがここでの最初の電話になった。
「はい。僕です」
「あっ、お兄さん?」
 電話の主は、あの女の子だった。
 どこかせっぱ詰まった様子だったから、まず世間話をするためにかけてきたことじゃないってのは、すぐにわかった。
「ど、どうしたの?」
「あ、あの、ななちゃんが、ななちゃんが!」
 僕がかわいがっていた犬の名前が、ななだ。
「なながどうかしたの?」
「ななちゃんが、ななちゃんが、いなくちゃったんです!」
 その瞬間、僕は全身が石にみたいに堅くなった。
 ななが、いなくなった。
 女の子から聞かされたその言葉が、頭の中で何度も繰り返された。
「この前、いつもように河川敷でボール遊びをしていたら、ななちゃんがボールを咥えたまま動かなくなって、何度呼んでも反応がなかったと思ったら、ななちゃんが、そのままどこかに行ってしまったんです。ごめんなさい、ごめんなさい!」
「お、落ちついて。だ、大丈夫だよ。ななはまだ子犬なんだから、まだそう遠くに行っていないはずだよ」
 落ちついていないのは、僕の方だった。
 そのときに起こった出来事を簡単に想像することが出来た。
 大方、ななは僕とのボールを遊びを忘れることが出来なかったんだ。
 だから、じっと女の子の顔を見ていたと思う。
 この人は、ななのご主人様じゃないって。
 ボールを持っていなくなったのは、きっと僕に届けるためだ。
 いくら子犬とはいえ、犬の嗅覚は人間の何倍も優れているのだから、ここに来る事は不可能ではない。
 しかし、それだけはないと願いたい。
 そんなことになったら、その後の結末はわかりきっていることだ。
「とにかく、もう1度探してみて。それで見つかったら、僕に教えてほしい」
「は、はい。それじゃ!」
 受話器を置いた僕は、すぐに出かける準備をした。
 ななが来ていると思えなかったけど、万が一があるかもしれなかったから。
 軽く重ね着をして、靴を履いて外に出ようとしたら、そこに1匹の子犬がいた。
「な、なな…」
 そう、あっちにいるはずのななが、ボールを咥えたままいた。
 かなり衰弱しているのが、誰の目にも明らかだった。
「くぅん〜」
 ななは僕の足元にボールを置くと、崩れ落ちるかのように倒れこんだ。
「な、なな!」
 僕はすぐにななを抱き上げた。
 すると、ななは最後の力を振り絞って、僕の頬をぺろっと舐めた。
 すごく満足そうな顔をして、ななはそのまま息を引き取った。
 僕は、ななの冷たく冷え切っていた体を抱き締めて、そのまま玄関でうずくまっていた。
 心の中で、ずっと謝りながら。


「行くよ。なな」
「は〜い」
 僕とななは、河川敷にいた。
 今日はななの誕生日。
 みんながパーティの準備をして、僕がプレゼント選びを兼ねて、ななとデートをした。
 いろんな所を散歩して、デパートでななのほしいものを買った。
 ななが選んだのは、野球グローブとボールだった。
 しかも、2組。
 何故2組かといえば、僕とキャッチボールがしたいからというものだった。
 そして、そのまま河川敷に向かい、こうしてキャッチボールをしている。
 とはいえ、僕自身があまりしたことがないから、ほんの少し不安が残る。
「それ」
 投げたボールは、ふにゃふにゃと放物線を描きながらななへと向かって行く。
 うむ、もっとやっておけばよかったな。
「えい」
 ななはふにゃふにゃボールをグローブに収めて、全力で投げ返してきた。
 が、そのボールは高く飛びすぎて、後ろへと飛んで行った。
「あやや、ごめんなさい、ご主人様」
「いいよ。気にしないで」
 僕は遠くに行ってしまったボールを取って、また元の位置に戻って投げた。
 ふにゃふにゃ。
 そのボールをまたななが取って、
 ぶん!
 ものすごい勢いで僕に向かって投げるものの、また後ろの方向へと飛んで行く。
 あとは、その繰り返し。
 なんか、昔の反対になったような気分。
「はあ、はあ、な、なな、少し休もうか」
「ええ〜、なな、まだ疲れていないよ〜」
 そりゃそうだ。
 ななはほとんどその場を動いていないのだから。
 それに引き換え、僕は走りっぱなしだった。
 その疲労感は、どっちが大きいかなんてすぐにわかる。
 ふっ、これが若さか…。
「ご主人様〜、早く、早く」
「…わかったよ。じゃあ、行くよ」
「は〜い」
 僕は疲れている体を押して、またななにボールを投げる。
 それを、あの頃と同じように、日が暮れるまで続けた。


「えへへ、楽しかった〜」
 家への帰り道。 
 ななは、大切そうにグローブとボールを持って、僕の手を握っている。
「よかった、ななが気に入ってくれて」
「ご主人様からプレゼントされたものだもん。ななには、大切な宝物だよ」
「そっか」
「ななね、またご主人様とボール遊びがしたいって思っていたんだよ。だから、そのお願いがかなっちゃったのかな」
「なな…」
 涙が出そうだった。
 僕のせいで、ななはその命を失ってしまったのに、なのに、また一緒に遊びたいという気持ちが、すごく嬉しくて、また、愛しかった。
「ミカ姉ちゃんがね、1番星に願いをすると叶うって言ったからね、ななね、一生懸命お願いしたんだよ。えへへ、なな、えらい?」
「…そうだね」
 繋いでいた手を離して、僕はななの頭を撫でた。
「ななは、えらいね」
「えへへ、ご主人様にほめられちゃった」
「…よいしょっと」
「あやや?」
 僕はななの軽い体を持ち上げて、少し強めに抱き締めた。
 子犬の頃にしてあげたように。
「ご、ご主人様?」
「なんか、昔を思い出してさ。それで、久しぶりにしたんだけど…。いやかな?」
「ううん。なな、すごく嬉しいよ」
 ななは僕の首に手を回して、抱き着いてきた。
 日向のような、懐かしい匂いがした。
「…これからも、一緒に遊ぼうね、なな」
「うん。ご主人様、大好き〜」
「僕も、ななのこと好きだよ」
 それから、僕とななまた手を繋いで、帰路へと着いた。

「あはは、それ〜」
 僕は、拾ってきた子犬とボールで遊んでいた。
 そのやりとりが楽しくて、日が暮れるまでしていた。
 その子の名前は、なな。
 かけがえの無い、僕の宝物だ。
 僕はもう、絶対に離す事はないだろう。
 何故なら、ななは大切な家族で、宝物だからだ。

 1番星に願い事をすると願いが叶うと言われている。  
 さて、次回は誰がお願いをするのかな?

<終>






  後書き♪

 お、終わった〜。
「本当にぎりぎりでしたね」
 うむ、そうなのだよ、サキミ。
「とりあえず、11月の1人目は終わりましたね」
 …そうだった。
 11月は、もう1人いるんだった。
「アユミさんですよね。それで、その次がモモちゃん。そして、今度はあゆみさん」
 あ、アユミのBSSが2つある…。
「まあ、P.E.T.S.と天使のしっぽの誕生日を分けるとなると、そうなりますよね」
 …が、がんばります!
「大丈夫ですよ。ご主人様ならやれますよ」
 ありがとうな。
 よっしゃ、や〜ってやるぜ!
「ふぁいと、だよ」
 では、今回はこの辺で〜。
「感想をお待ちしております〜」

メール 2003年11月06日 (木) 19時01分




Number
Pass

ThinkPadを買おう!
レンタカーの回送ドライバー
【広告】Amazonにて人気の 日替わり商品毎日お得なタイムセール
無料で掲示板を作ろう   情報の外部送信について
このページを通報する 管理人へ連絡
SYSTEM BY せっかく掲示板